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日本のルーツは「秦の始皇帝を騙し、3000人を連れて日本に渡航した男」にあった!?

日本史あやしい話16

■弥生時代、技術革新をもたらしたのは徐福だった!?

 

 仮に、その多くが日本にたどり着いたと仮定した上で考えてみよう。その場合、彼らが当時の日本にもたらした影響は甚大である。

 

 日本の人口は、縄文晩期で78万人だったといわれる。紀元前3世紀といえば、日本はまだ弥生時代のまっただ中。すでに水稲栽培が始まってかなり年月が過ぎて人口も増えたとはいえ、まだまだ少なかったはずである。

 

 そこに先進国から3000人もの人が流入するとともに、鉄の農具を使用する高度な栽培技術が導入された訳だから、それ以降、稲の収穫量が激増して、人口も一気に増えたに間違いない。

 

 さらに、機織り技術や製紙技術などに加え、道教の元となった神仙思想や銅鐸(どうたく)祭祀の方法などまでもたらしたとも考えられるから、日本中の人々の生活は激変したはずだ。そして、各地でさまざまな伝承が生まれ、死して神として崇められるようになったとまで言われるようになった。

 

 徐福は確かに日本にやってきた。そして、当時の日本に革命的な技術革新をもたらし、富の蓄積をもたらして発展。その上で、国造りが始まったのではないか?と思いたい気もする。

 

■渡来人の末裔・秦氏

 

 さらにもう一つ、注視しておきたいことがある。それが、徐福の後裔とみなされることもある「秦氏」の存在である。秦氏とは文字通り、秦人の末裔を示している。その出自を中国と見るか朝鮮半島と見えるか判断の別れるところであるが、元をたどれば、秦にたどり着くと見なしてみよう。

 

 その末裔が日本各地に点在して、倭国建国に大きく貢献したとも考えられるのだ。その後のヤマト王権の発展にも秦氏が大きく関わっていたことは、『日本書紀』を見ても明らかである。

 

 ことは日本のルーツにも関わる問題だけに、この辺りでもう一度、その祖先となったかもしれない徐福の動向について振り返り、再検証してみたいと思うのだ。

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藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

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